前世へのレジスタンス
付き合った。

だけど、やっぱり学校を出れば金井くんは全然別の世界の人で遠い存在に感じる。

「コンサートとか近くて、学校に来れる日もなかなか無いかもしれない。」
「そっか…どのくらい?」
「夏休み終わりとかまで」
「忙しいね、体調壊さないでね」

時折、2人きりになれる少しの時間を見つけて屋上で過ごしていた。
忙しいのに学業もしっかりこなし、おまけに夏休み前までの授業で習っていないところも予習し、テストも既に終えたらしい。
みんなが知らないところで努力しているんだ。
私も…

「私も頑張らなきゃ、とか思ってた?」
「…あ、えと……」

心の声が読まれてしまった。

「頑張りすぎないで。こっちのセリフだ。」
「あ、すみません。」

私はすっぽりと金井くんの腕の中に収まっていた。
夏が近づいて、こう外で過ごすのも暑いのに、
なんだか心地良い。


「そんなよそよそしくしないでよ」
「別に、普通。」


こっちの気も知らないで…
緊張を抑えるように体に力が入る。
まぁバレバレだと思うけど。


~♪


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