前世へのレジスタンス

どんな理由でわざわざあの施設に入ったかは分からないけど、自分と置かれた境遇の差を感じてしまう。

「カナちゃんは決めたの?」
「あ、うん。就職…」
「俺らより一足先に社会人かー。すげぇ。」
「すごいです。私はまだ働く決心はつかないよ。」

2人はそう言ってくれたけど、心の中では複雑だった。

今、セイとエリナちゃん、そして金井くんがいてくれることで、学校がこんなに楽しくて、生きるのがこんなに楽しいって実感出来て。
とりあえず学校に行って、必死にバイトして、っていう流れ作業みたいな人生が変わったように感じて、
ずっとこのままが続けば良いのに。
もっと学生生活をしたい。
授業だって楽しいって思えるようになったし、今置かれてる状況が幸せだってことに気づけた。


どう足掻いても、私には…


『来年の3月。高校3年の3月に…黒崎カナ。……君は殺される。』


脳裏に金井くんが言っていた言葉がふと蘇る。
私は本当に死んでしまうのだろうか。
殺されるのだろうか。
誰に?


進路と終わりが見える自分の人生。



『あなたを好きになったこと、この人生を私は後悔したりなんかしない。』



誰…?泣いてる…?


私の心拍数が上がる。
息が上がって、呼吸が少し荒くなる。
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