前世へのレジスタンス
「そういや、カナ知ってた?」
「何を?」

「明日転校生が来るんだってさ」
「ふーん。」
「それが…」

興味がなさそうな私の目の前に、画面を少し明るくしたスマホをセイは差し出す。
私はチラッとその画面を見た。

「『グローバル…ボーイズグループ…?』」
「すげぇよな。今をときめくスターが転校してくるんだとよ」

何人か写っている画像の真ん中をセイは指さした。
私には眩しすぎるくらいキラキラした笑顔でこちら側、カメラのレンズを見ている。

それが何であろうと、私は興味が無い。

「かっけぇよな…」
「え?セイの方がかっこいいよ。」

私は低めのトーンでボソッと言葉を放つ。
セイは「おいおい…」と言いながら自分の右手で顔を覆っていた。
何となく、耳が赤い。

「私、別に顔とかで判断してないから。」
「…それは地味に傷つく。」

セイは冷静になったのか、一瞬で顔を上げてじろりとこちらを睨むような視線を向けた。
私はその顔が面白くて少し笑ってしまった。



家に帰ってベッドに横たわると、ふと脳裏をよぎる。
セイが見せてくれた画像の男の子。

(あっ…)

私は咄嗟に思い出した。
いや本人かは定かでは無いけど。
少し顔が整っているような男性がレジに並んでいたような…
マスク越しでも美形であることが分かった。

(そんな偶然あるのかな…)

何か声をかけられたような記憶はあるけど、それが果たして何だったのか。

思い出す前に私は疲れて寝てしまっていた。

< 6 / 107 >

この作品をシェア

pagetop