前世へのレジスタンス
私は気の抜けた低い声でセイの話に反応した。

「誰に?」
「金井だよ。」
「え?なんで?」
「金井から電話きたっていってんじゃん」

どういうこと…

「てか、なんかバレてた。」
「…はぁ!?!?」

店内に大きな声が響いて、周囲の視線が私に集中する。
私はマズイと思い、必死にその全ての目線と合わないように目線を下に降ろした。


「俺、別に桃井のこと好きじゃねぇし」
「は?」


セイのあまりにもあっけらかんとした態度に次第に私はイライラし始める。

「俺が好きなのは、昔からお前一択なんだよ。」

こんな状況で核心を突くようなことを聞きたくなかった。
どこかで自分でもわかっていたはずだったけど、今の私はイライラの方が勝っている。
エリナちゃんの気持ち、こいつは考えたのかよ…

私は今までこんなやつと仲良くしていたのか、と思った瞬間、ぷつりと何かが切れた感じがした。



「あんた、最低。」



私は座っていた椅子から思いっきり立ち上がった。
勢いよく動いた椅子の音に、また周囲の視線がこちらに向けられる。
でもそんなの構わない。
こんなクズだとは思ってなかった。



「いつからそんなやつになったの?」



私はセイの方を見向きもせず、勢いよく店を飛び出した。
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