前世へのレジスタンス
イライラが隠せないままでいるともうすぐバイトの時間だった。

「カナちゃん?」
「あ、」

タカコさんだ。
なんでこんなタイミングで会ってしまうんだろう。

「セイくんが、カナちゃんに会うって出ていったけど。…カナちゃん!?」
「うっ…っ……」

私はタカコさんの姿を見た瞬間、目から自然と涙が零れていた。
泣きたくなんかない。
最近は会ってなかったし、どうせ会うなら笑って会いたかったのに。


「大丈夫?」
「…はい」

少し道の端の方により、私の涙は少し時間が経つとすっと引っ込んでいた。

「すみません。取り乱してしまって。」
「全然、…無理にとは聞かないから。」

聞かれても、言葉にしたらまた泣いてしまいそうだ。
察してくれたのか、タカコさんは話を切りかえてくれた。

「カナちゃん、バイトまでまだ時間あるの?」
「少しなら…」
「じゃあ少し気になっていたんだけど、進路…どうするか決めた?」


タカコさんには全部見抜かれてるな…


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