前世へのレジスタンス
「就職、です。」
「カナちゃん、勉強も頑張ってるし、勿体無いんじゃない?」
「それ、先生にも言われました。」

実は夏休み前の面談の時、就職する職種を絞ろうとはなったけど、その後に進学を勧められた。
今の学力が勿体ない、無利子・無返還制度がある大学もあるから考えてみないか、と。

正直内心迷っていた。

近くのバス停のベンチに座り、空を見上げる。
私もこの空の先、別の世界を見てみたい。


「チャレンジ、してみても良いんじゃない?」
「私、自信ありません。」
「選択できるのは、今しかない。…カナちゃんには後悔してほしくないの。」

タカコさんは胸元のペンダントをぎゅっと握りしめていた。
いつも身につけているな、そのペンダント…


「少し昔話をしても、良い?」
「はい…」


それは私が施設に入るよりも前の話。



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