前世へのレジスタンス
「いつ人生が終わるのかなんて分からない。終わるきっかけも分からない。…自分の子を重ねてこんなこと言ってしまうのはあれだけど、カナちゃんには後悔してほしくないの。」

タカコさんのこと、初めて知った。
私は施設に入ってすぐの頃、ほとんど誰とも口を聞かなかった。
だから私が来るよりも前からいた人はこのことを知っていたのかもしれないけど、知ることがなかった。


「進路もだけど、関わる人、環境、全てに後悔しない選択をしてね」


”後悔しない選択”


「ごめんね。長々と。さぁバイト頑張って!」
「……はい!!」

タカコさんは目を少しうるませながら、私の背中を押してくれるかのように手を振って見送ってくれた。


”困った時はいつでも連絡していいよ”


私は背筋を正した。
今は、あの人の隣に堂々と立てる人でありたい。


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