前世へのレジスタンス

「もしかして、ヒロちゃんの彼女この子?」
「はい、そうです。」

30代くらいの女の人が私に気づくと金井くんに問いかける。
私はその女性と目が合い、軽く会釈する。


「黒崎カナさんです。」
「こ、こんにちは…」

私が軽く挨拶すると、一瞬目の前の光景が、本当に一瞬だけど変わった。
周囲の人々の見た目もなんとなく一瞬なんだけど…


「カナちゃん、」
「はい。」


店長がカウンター越しのキッチンから私の名前を呼んだ。
その後に何かをお互い理解したかのように、金井くんと店長は目を合わせ少し頷いた。


「ここにいる私たちは、全員、ユニス王子、…つまり金井ヒロトに支えるものなんだ。」


「は?」


私は多分馬鹿みたいなアホ面をしていると思う。
金井くんって、王子?
そんなおとぎ話みたいなことってありえないでしょ。

「いや、ないでしょ。」
「事実だよ。」
「嘘はいいから」
「嘘じゃない。」

金井くんは深呼吸をする。
私はまだ動揺してる。
なんとなくその口元から発する言葉を聞きたくない感じがする。


「前世、僕はある国の王子、そして、カナもある国の姫、だったんだ…」


その時、私は徐々に記憶を思い出していく。
まだ断片的にしか思い出せないけど…
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