前世へのレジスタンス
「私、…死んだんだ。貴方を残して……」
自分の口から出た言葉が、自分に似つかわなくて驚きつつも、私は自分の最後の瞬間がフラッシュバックするように思い出した。
もしかしたらここに金井くんがいる意味も、私がいる意味も、このお店の人がいる意味も、
「きっと私の後悔のせいなのでしょうね……」
私は愛していた人、そう今、目の前にいる。
貴方に言えずに死んでしまった。
「…私、また……」
私の目から涙がこぼれおちる。
金井くんには前世も、そして未来も見えてるみたいだ。
私はまた死ぬ。
貴方を残して、また…
「その”また”を繰り返さないために、私たちにも協力させて欲しい。」
「店長…みなさん……」
ここにいる人たちも、何かしら前世で思い残したことがあったのだろうか。
「…あー!」
金井くんが急に大きな声を出した。
「カナ、東京初なんだ。…2人にさせてくれる?」
「あ、…かしこまりました。ではあちらに。」
辛気臭いこの空気を金井くんは見事に壊し、私を引連れお店の一番奥にある扉の方へと、私の手を取り足を進める。
扉を開くと、長い通路みたいになっていて、左右には何個かまた扉があった。