前世へのレジスタンス
「ここは個室だから、身バレとかもないしね」
金井くんはマスクとサングラスを外した。
このなんとも整った顔は確かに巷で『国民の王子』と言われるだけある。(気になって調べたら出てきた。)
「…。」
「ん?」
「あ、やっぱりかっこいいなと……」
「そんなにスラスラと、そんなこと言わないでよ。」
マスクとサングラスをとったせいで顔が赤いのがバレバレだ。
私だけドキドキさせられっぱなしなのは、なんとも不服だった。
2人で個室のひとつの扉を開けて中へと入る。
「個室だから、マスコミにキャッチされないようによくメンバーとも使わせてもらうんだ。」
「へぇー」
冷房が効いていて相変わらず涼しい。
周りに人がいないので、ゆったりとしたBGMだけが流れている。
席に座ると店長さんがお水と紙とペンを持ってきてくれた。
「食べたいもの書けば大体何でも持ってきてくれるよ。」
「え、すごい…うーん。」
私はとりあえず『オムライス』と書いてオーダーを取りに来てくれた店長に渡した。
まさか東京にきて、こんなに落ち着いた場所でご飯が食べられるとは思わなかった。
確かに金井くんも街中で騒がれたら大変なことになってしまう。