前世へのレジスタンス
私には完全に前世の記憶がある訳では無い。
だけどそのビジュアルでそう言われると、貴方の方こそ そのまま異世界転生でもしてきたんじゃないか?と思ってしまう。

「そういえば、夏休みはどうなの?楽しい?」
「別に、いつも通りバイトばっかりだよ。あ」
「何?」

忘れていようとしていた記憶が蘇る。
むしろこっちの記憶をなくして欲しいものだ。


「セイに宣戦布告って、どういうこと?」


さっきまでの穏やかな空気が一変する。
金井くんも食べていたご飯の手を止めた。

「ごめん、僕見ちゃったんだよ。」

私は思わず頭を抱える。
うそ、あれ、セイにキスされたの見られてたの…

「焦って次の日告白して、少し妬いちゃってキスしちゃうし…」

軽くごめんと言って、まるでこの話を笑い話にでも変えようと金井くんはズラズラと言葉を並べていく。
私はそんな金井くんの気遣いを感じて申し訳ない気持ちになる。


「実は前もこんな感じで、僕の勘違いで君に告白しなかったから…」
「…うぁ、…ごめんなさい。…突然過ぎて拒めなかった私が悪い。」


お互いがお互いに深々と頭を下げる。
その後頭をあげたら、目が合ってしまい思わず笑ってしまった。
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