前世へのレジスタンス
「大丈夫。青沢の気持ちも分かる。」
「え?」
「恋愛って大変だね」
「あぁ…うん。」

そう言いつつも、なんとなく拗ねたような顔をしていた。
これが”嫉妬”っていうものなんだなー、と微笑ましく見ていたら、「そんなに見ないで」と顔を赤くしていた。

これからもこんな甘い時間が続けば良いのに…

なんとなく最近の日常のことをお互い話した。
全国各地を金井くんは飛び回っているらしい。
昨日までは沖縄にいたらしい。
東京の方が暑く感じたって。
ライブはやっばり人が沢山いるらしい。
僕にはもったいないくらいの輝かしい景色って言ってた。
一体どんな風に見えてるんだろう。

私の知らない世界、私の知らない今も昔も、金井くんは知ってる。
話を聞いているだけで、世界が広がった気がして、そしてその隣に、いつか寄り添って……


金井くんの言葉は暖かい。
周りを幸せにできる、それは生まれ持ったものなのだろう。


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