前世へのレジスタンス
「…あ」
人気を察知したのか、目の前の男性が私の方へと振り返る。
道路と砂浜は少し高さが違っているため、私がその彼を見下ろすような感じになっていた。
私を見上げるその顔は、どこかで見たことのある顔だった。
私がその場に突っ立っていると、彼は砂浜からひょいっと駆け上がり私の目の前に立った。
身長が高いんだなこの人。
さっきとは逆で、私が彼を見上げる姿勢になっていた。
「あっ」
私は目の前で彼の顔を見つめ、そして思い出した。
「…セイが言ってた、転校生か……」
「𓏸𓏸バス停のところのコンビニでバイトしてるんだね」
何故それを!?
私があなたと会ったことなんて1度もありません!
心の中で何を言っているんだこの人は、と思いながら爽やかな美しい顔をから視線を外した。
見るからに分かった。
この人は住む世界が違う人なんだと。
なぜ大都会でも、だからといって身バレしなさそうなド田舎でもなく、この平凡な海町に転校してきたのか。
「昨日も会えて、今日も会えるなんて、なんか僕はラッキーみたいだ」
「は?」
私はそのキラキラスマイルを見もせず学校へ向かって歩き出した。
その瞬間、私の左手はグイッと掴まれ振り返ってしまった。