前世へのレジスタンス
「こんな景色あったんだ」
「良いよね。ここからの眺め。」
そこから見える景色はこの大都会を見渡せる、この街でいちばん高い展望台みたいな場所だった。
長いエレベーターでてっぺんまで上がって、夜風に吹かれながら景色を一望する。
少し上を見上げると、ここからでも星が見えた。
「今日が終わって欲しくないな…」
「私も…」
繋いだ手が暖かい。
ずっと繋いでいたい。
ずっと隣にいたい。
そんなことを思ってしまう私は、ただの能天気なやつなのだろうか。
「今日はありがとう。来てくれて。」
改めて感謝されるとなんとも言えない感情になる。
私は金井くんの目を見て『こちらこそ』と自然と笑顔になれた。
「…?何か言いたいことでもある?」
「うっ…」
そういえば今日言おうと思ってたことがあった。
別に私個人の問題なんだけど、この決断の第1歩は金井くんだと思うから。
「良いよ。言って。」
後悔のない選択…
私は繋がれた手を見た。
大丈夫。信じていける。
「私、大学に行きたい。」
やっぱり私は学校が好きだ。
あなたのおかげで好きになれた。
まだまだ新しい世界が広がる気がする。
「私みたいな子をこれ以上増やしたくない。子供たちのために、…まだ何もかも分からないけど、何か出来る人になりたい。」