前世へのレジスタンス
思えばそうだった。
「気づいた時にはこの世界の、しかも注目される対象になっていて、そもそも前から僕は人前に立つのは得意ではないんだ。それは生まれ変わっても変わってなかったみたいだ。」
金井くんはスマホを取り出すと私に画面を見せてきた。
そこにはどこかの企業のプレゼンテーションみたいなものが映っていて私はなんの事かさっぱり分からなくなる。
話の辻褄、合ってる…?
「これが今、僕が考えているプロジェクトなんだ。」
「…プロジェクト?」
「僕はプロデュース業に専念したいんだ。」
「表には出ないってこと?」
「うん。そうだ。」
あまりにも綿密に書かれすぎて、本気度が伝わってくる。
「メンパーに何かを教えたりするのが僕は好きだし、今まで作詞作曲もしたことがあるんだ。」
「作詞作曲!?」
「僕が今まで培ってきたことを次の世代に、ね」
私の知らない金井くんがまだまだいるんだ。
いつも驚かされる。
金井くんも未来を考えていたんだ。
「その為にも、」
膝の上に置いていた左手に、金井くんの右手が重なる。
その手をキュッと握ってくれる。
「今を生きよう、一緒に」
「…うん!」
私たち2人の約束だ。