前世へのレジスタンス
「なんでそんなこと聞くの?」
”好き”
たったその一言が欲しかっただけなのに。
「なんでもない。」
ここからどんな会話をしていたのか、私は覚えていなかった。
夢を見ていた。
夢なはずだった。
「痛っ」
手のひらをつまんでみると、痛かった。
目の前の風景が変わっていた。
元々裕福な家庭ではあるものの、こんなに煌びやかな装飾で彩られた部屋は見たことがなかった。
少し目線を下に落とすと、私はドレスみたいな服を着ていた。
童話で見たことがあるような真っ白な、でもこの素材は軽いからきっとパジャマだろう。
「サラ!」
分厚くて重そうな部屋の扉が開かれる。
(うそ……)
見覚えのある顔ぶれだった。
私は自分の中で何かが上書きされている感覚に陥った。
「ラピス、ユニス、ロベリア…」
「心配したのですよ。急にサラが倒れたと聞いて。」
あぁ、これは私が1番楽しかった頃の記憶だ。
私はサラ。この国の姫。
身体は丈夫な方だっはずなのに、倒れてしまうなんて。
「サラ、聞かせてほしいことがあるんだ。」
「…?ユニス?」
「いつからラピスと恋仲なのか?」
「ユニス!今それを言うのか!?」