前世へのレジスタンス
「ユニス王子…わ、私を騙したのですね……」

彼からの私への愛など、最初から無かったのだ。
そして今、世界四大国の1つが滅ぼされた。

「なぜこんなことを!」
「声を荒らげるなんて珍しい。」

子供たちはここを動くなと部屋に2人取り残された。
もちろん護衛もいる。万が一、剣を振りかざされても、の時のためだ。

「私はずっと貴方を愛してた。貴方は、1ミリ足りとも私を見てなんかいなかったでしょうけど。」
「バレてしまっていたね。」

「だからといって、なぜ!?愛する人を、愛する人の祖国を終わりにするのが、ラピス……あなたの、望みなのですか?」


ずっと4人でいたかった。
もちろん、恋人としても一緒にいたかったのは事実だけど、それよりも4人でいたかった。


「あははっ……馬鹿馬鹿しい。」


あまりにもドスの効いた低い声だ。
今まで聞いたことがない。
ただならぬ殺気を感じた。
私についていた護衛が後ろで構えているのが分かる。

ごくりと息を飲む。
静寂。呼吸音でも響いてしまいそうなくらいだ。


「次はサラ、君を愛さないと…」


愛す……?

ラピス、何を言っているの?



ラピスが手に持っていた鋭い剣を構えた。
動き出した瞬間、私の横を勢いよく風が通り抜ける。
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