前世へのレジスタンス
明るく輝くような、独特な色の髪。
「…ユニス。」
「逃げるんだ、サラ」
いつもはきっちりとした正装なのに、着用していたのは一般市民が着る洋服だ。
だけどユニスのオーラはそんなものに負けず、輝いている。
「サラ!」
「!」
あまりの大きな声に押されるように、私はとにかく後を振り返らず走り続けた。
とにかく走って走って…
『サラ、知っていますか?4つの国の間、あそこの山の奥にある洞窟は、行ってはいけないそうです。』
『ロベリア、なんで?』
『この世を変えてしまうくらい、強力な魔力をもったお方がいるとか。』
そんなお方が本当にいるのなら、この運命を変えてくれますか?
助けてくれますか?
「来ると思っていましたよ。サラ姫。」
「…本当にいたんだ。」
世界最強の魔女。
力を貸して。
「こんなに酷く汚れて、」
「貴女を探していました。」
こんな結末なんて無しにして、
「4人がまた笑っていられる世界にしてください。」
私の切実な願い。
平穏に、またみんなで…
「本当にそれが、貴女の希望ですか?」
魔女は古びた木の椅子からゆっくりと腰をあげると、一歩一歩音も立てずにこちらへと近寄ってくる。