〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「――――虎徹くん」

「ん?」

「もうすぐ、虎徹くんの誕生日でしょ?」

「うん!
何にもいらないから、二人っきりでくっついて過ごそうね!」

「あ、いや…」

「え?」

「旅行をプレゼントしたいの!
それでね。
お休み、取ってもらえない?
急なんだけど、来週の木・金」

千景の紹介してくれた旅館。
かなりの高額の旅館だが、予約が殺到していて来週しかあいていなかったのだ。

それ以降は、半年待ちだ。

千香子の言葉に、虎徹は嬉しそうに笑って「もちろん!ありがとう、千香子さん!」と頷いた。


そして当日。

やっぱり小ぶりのキャリーケースをゴロゴロ引き、カジュアルなリュックをからっている虎徹と指を絡めて手を繋いだ千香子が駅に向かっている。

「千香子さん」
「ん?」

「いい加減教えてよ!
何処のホテル?」
「だから!着くまで内緒!」

「えー!」
「でも、きっと喜んでくれると思う!」

「別に、そんな心配はしてねぇよ?
千香子さんからのプレゼントなら、どんなモノでも嬉しいし!
単純に、気になるってだけ!」

「でもダメー!」


駅に着き、新幹線に乗り込んだ。
虎徹が荷物を、荷棚に上げる。

「今日は、虎徹くんが窓側ね!」
「え?いいよ?
千香子さん座りなよ!」

「ダメ!
虎徹くんがおもてなしされる日なんだから!」

「俺がダメ。
千香子さん中心じゃないと、やだ!」

「え?」

「な?
いいから、千香子さんが座って!」
そう言って、半ば強引に座らされた。

そして新幹線内でも、虎徹は千香子を気遣っていた。
「千香子さん、酔ってない?」
「お腹すかない?」
「なんか、飲み物いる?」と――――――


しばらく走っていると、段々千香子の口数が少なくなり………
千香子が、虎徹の肩に頭を乗せてきた。

「ん?千香子さん?」
「ん〜!!」

虎徹の肩に頭をグリグリして、そのまま眠ってしまった。

虎徹は千香子を見て、フフ…と微笑みスマホを構える。
カシャカシャと、寝顔の写真を撮った。


「―――――次は、○○、○○です」
虎徹も千香子の頭に頭を預け、目を瞑っていると駅長のアナウンスが聞こえてきた。

(確か、次だよな?降りる駅)
「――――……子さん…千香子さん!」
「……っ…あ!」

「次、○○だって!」
「……ふえ?
―――――あ!!降りなきゃ!」

降りる準備をし始めた。
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