〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「―――――え?社員旅行?」

そんなある日。
虎徹の課で、社員旅行が開かれることとなった。

「うん。
参加は自由らしいんだけど…
スギヤマ教授の講演会に参加できるらしくてさ!」

「え?
スギヤマ教授って、あの!?」

スギヤマは、虎徹の尊敬する理工学部の教授だ。
講演会を定期的にしてるのだが、なかなかチケットが取れないことで有名な人気の人物。

「こんな機会、なかなかないから。
どうしても行きたくて…」

「そっか!
わかった!」

「ごめんね。
千香子さんを、一人にしたくないんだけど…」

「あ…ごめんね、私が弱いから心配かけてるよね…
でも、大丈夫!
虎徹くんが、安心して社員旅行楽しめるようにしっかり留守番するから!」

「うん」
虎徹は、心のどこかで“行かないで”と言ってほしいと思っていた。

もっと……千香子さんに、頼られたい。

微笑み見上げる千香子を見ながら、そんなことを考えていた。


そして――――社員旅行当日。

「じゃあ千香子さん、行ってくるね」
「うん、気を付けてね!」

「明日も少し仕事して帰るけど、昼過ぎには帰るからね!」
「うん!」

「なんかあったら、連絡必須だから!」
「うん!」

「我慢はなし!」
「うん!」

「あ、待って!
なんかなくても、連絡必須!」
「フフ…うん!」

「あとなんか、ないかな?」
「フフ…大丈夫だから!
天ちゃんやフジチカくんがね、寂しかったら泊まりにおいで?って言ってくれてるの!」

「そっか。
まぁ…トカゲカップルならいいか!」
「ほら!遅れるよ?」

「うん、じゃあね」
「うん。いってらっしゃい!」

千香子にキスを落として、小さく手を振り家を出た。


待ち合わせ場所の駅に着く。
糸岩や行橋、井野がいた。

「おはようでーす」
「あ、おはよ!」
「おはよー!」
「おはよう!」

「びっくりした」
糸岩が虎徹に言う。

「え?何が?」

「絶対、来ないと思ってたから(笑)」
「俺達、原藤くんは森浦さんから離れないと思ってたからね(笑)」

「あ、あぁ(笑)
そのつもりだったけど、スギヤマ教授の講演どうしても行きたくて。
あの人の講演会チケット、ぜってぇー取れねぇもん…」

「あーまぁな(笑)」

「――――――糸岩さん達ー、行きましょー!」

社員に声をかけられ、虎徹達はホームに向かった。
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