〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
新幹線が来て、乗り込む虎徹達。

荷棚に荷物を上げていると………

「原藤くん、私の上げてくれない?」
隣りにいた先輩女性社員・クリタに鞄を渡された。

「………」

「原藤くん?」

「あ…は、はい」
鞄を受け取り、荷棚に上げる。

「ありがとう!」と微笑み見上げるクリタを見ながら、千香子のことを想った。

席に座り、スマホを取り出す。
千香子にメッセージを打とうとして、やめた。

「………」
(つか、こんな早く千香子さんに連絡してたら、明日までもたねぇじゃん!俺!
しっかりしろ!俺!)

虎徹は、心の中で自分に言い聞かせていた。
とにかく、千香子のことを考えない様にしよう。
そう思い、目的地まで寝ることにした虎徹。
ゆっくり目を瞑った。

しばらく意識がなくて、なにやら声が聞こえてくるなぁと思い、目を瞑ったまま耳に意識を集中させる。

「…………ヤバくない?」
「カッコいい〜」
「寝顔までカッコいいって…反則よね(笑)」
「まつげ、長っ!」
「肌も綺麗だし!」

「………」
(は?何の話してんの?)

すると今度は、カシャカシャとシャッター音が聞こえてきた。

「………」
(は……?
まさか!?写真撮ってんの!?)

そこで、パチッと目を開けた。

「あ…」
「ヤバっ…!?」

案の定、虎徹の周りにスマホを持ったクリタ達女性社員がいた。

「今、写真撮ってましたよね?」

「え……」
「あ…あの…ごめ―――――」

「消してくださいね」

静かで、淡々とした……でも、恐ろしさと重みのある声と声色。

「あ、は、はい」
「ご、ごめんなさい…」

「もう…こんな盗撮みたいなこと、やめてください」
クリタ達はビクッと怯え、何度も頷いた。


目的地に着き、虎徹達は旅館に向かい荷物を置いた。
それからスギヤマ教授の講演会に向かった。



その頃千香子は、仕事にいつも以上に勤しんでいた。

「―――――モリチカ、張り切ってんなぁー(笑)」
千景が笑いながら声をかけてくる。

「え?
あ、まぁね(笑)
虎徹くんのことを考えないようにしてるの(笑)」

「なんで?
寂しくなるから?」

「当たり!」

「フッ…
じゃあ、今日は天胡と三人で飲みにでも行くか!」

「うん!
ありがとう!」

千香子は、嬉しそうに笑って仕事に取り組んでいた。
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