〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
そしてこちらは、虎徹とクリタ。

どうしても、この綺麗な虎徹を画面に収めたい。
そう思い、スマホを構えた。

カシャ…と一枚、寝顔の写真を撮った。

「自分だけが見るんだし、いいよね?」
そう呟きながら、その写真を見つめる。


「…………良くねぇよ」

「え……」
気づくと、虎徹が目を開けていて睨みつけていた。

「消してください」

「え?あ…」

「なんで、そんなことするんすか?」

「え?」

「逆なら、どう?
キモくないすか?
自分の寝顔、他人が持ってるなんて。
しかも、こそこそ盗撮までされて」

「………」

「てか、朝も新幹線の中で言いましたよね?
“盗撮みたいなことやめてくれ”って」

「ごめん…なさ…
でも、私……」

「俺は千香子さんしかいらない」

「え?」

「あんたが告ってきた時、そう言いましたよね?
この仕事も、千香子さんのために選んだ。
俺は、千香子さんのために生きてるって。
…………悪いけど、もう仕事以外で声かけてこないでください」

「え……」

「もう…あんたに対して、嫌悪感しか湧かない」

そう言い捨て、虎徹は立ち上がった。
そして、部屋に戻ったのだった。

崩れ落ち、項垂れるクリタ。

「…………大丈夫ですか?」
背後から声をかけられた。

「え…
行橋くん…?」

「すみません。
俺、起きてたんですが、声かけるタイミングつかめなくて…」

「あ…そ、そう…」

「えーと…」
言いにくそうに口を濁す、行橋。

「部屋、戻るね…」

落ち込んだように部屋に戻った、クリタ。

少しして……部屋にノックの音がしてきた。

「はい…
え?行橋くん?」

「これ、どうぞ?」

「え?」
行橋に渡されたのは、コンビニの肉まんだった。

「肉まんって、ホッとしません?」

「こんな時間に?肉まん?(笑)」

「良いじゃないすか!(笑)」

「フフ…」
「旨そうでしょ?(笑)」

「うん、ありがと!
一緒に食べない?下のロビーで。
やっぱこんな時間じゃ太るし、半分食べてよ!」

「はい、じゃあ…!」


二人は、ロビーに向かったのだった。
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