〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
一方の虎徹。

イライラする……

外の空気を吸おうと思い、旅館を出た。
煙草を取り出し、吸い出した。
空を見上げて、煙を吐く。

「千香子さんに、会いたい…」
かなり苛ついているのに、出た声は弱々しい。

すると……
スマホが震えてきた。

画面に“千香子さん”の文字。

「もしもし!?」
慌てて、電話に出た。

『虎徹くん?』
窺うような千香子の声が聞こえてきた。

「千香子さん!」

『ごめんね、遅くに…
起こしたかな?』

「ううん!
俺も起きてたから!」

『そっか…良かった…!
あの…特に何もないんだけど…声、聞きたいなって思って…』

「うん!俺も、声聞けて嬉しい!」

『スギヤマ教授の講演、どうだった?』

「良かったよ!
それだけは、来てよかった!」

『それだけ?』

「うん。
“それだけ”
………………帰りたい。
早く千香子さんに会いたい。
ギュッてして、キスして、千香子さんを抱いて寝たい!」

『うん…//////
私も、早く会いたいな!』 

「………」

『………ん?虎徹くん?
聞こえてる?』

「………」

『虎徹くーん?あれ?』 

「千香子さん…」

『あ、聞こえてた!(笑)
何?』

「なんで俺、こんな好きなのかな?」

『え?』

「千香子さんがいないと、飯も、酒も、煙草も旨くない。
何も面白くない」

『……………フフ…』

虎徹の言葉を聞いて、千香子が笑い出した。
「千香子さん?」

『私も!』

「え?」

『今日ね!
天ちゃんとフジチカくんと、アオテツくんが夕食付き合ってくれたの!
虎徹くんがいないのが寂しくて、いつもより沢山お酒飲んだの(笑)』

「へぇー」

『悪酔いしちゃって…(笑)』

「そっか(笑)」

『私ね。
虎徹くんの話しかしないんだって!』

「え?」

『天ちゃんに言われたの(笑)
“千香子ってさ。虎の話題しかないのー?”って!
私は、意識なんかしてないんだけど……
よく考えたら、そうなの!
私、虎徹くんの話題しかないの。
だからね。
さっきも悪酔いして、虎徹くんのことばっか話してた(笑)』

「へぇー!なんか、嬉しい!」

『虎徹くんの話題なら、ずーっと話してられるよ!
一日……いや、喉が潰れるまで話し続けられるかも?(笑)』

「フフ…」

『だからね。
何が言いたいかと言うと……
それくらい、私も虎徹くんが大好きってこと!
明日、いっぱいギュッてして、キスしようね!』

「フフ…うん!!」


不思議だ。
千香子さんに“大好き”って言われただけで、元気が溢れてくる。

さっきまでの、千香子さんに会えない寂しさも、クリタに対するイライラも…一気に吹っ飛んだ。


虎徹は部屋に戻り、部屋のシャワーを浴びて眠りについたのだった。



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