〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
甘えてほしい
虎徹は自他共に認める、性欲の強い男だ。

だから再会して交際してから、千香子にほぼ毎日のように求めてくる。

しかし…………

ここ二ヶ月程、互いに仕事が忙しくすれ違いの日々を過ごしていた。

千香子はやっと仕事が落ち着いたが、虎徹は今日も残業している。

「はぁ……」

今日の千香子は、とてもモヤモヤしていた。

早い話が、虎徹に抱かれたかった。

なんだか寂しい夜。
なかなか眠れなくて、ベッドに横になった状態で目だけ瞑っていた。

午後十一時頃。
虎徹が帰ってきて、静かに寝室のドアを開ける音がした。

目を瞑っている、千香子。
虎徹が近づいてくる気配がする。

ギシッとベッドのスプリングが軋んで、虎徹がベッド脇に腰かけた。

「千香子さん…ただいま……」

そう呟いて、頬にキスを落とした。
そして何度か千香子の頭を優しく撫でて、寝室を出た虎徹。

ドアが閉まる音がして、千香子はパチッと目を開けた。

「…………うぅ…言えない……」

抱いて。
…………なんて…

しばらくして、虎徹が戻ってきた。
風呂に入って来たのだろう。

シャンプーの香りがしてくる。

その香りだけで、感情が昂った。

しかし、自分から誘えない。

虎徹が隣に横になり、千香子の首の下に腕を滑り込ませてきた。
そして、そのまま抱き寄せられた。

嬉しくなって、思わず見上げる。

「あ…ごめん、起こした?」
「ううん、大丈夫!
仕事、お疲れ様!」

「ありがと!
ねぇ…チューしてい?」
「うん…!」

「やった!
さっき、千香子さんのほっぺたにキスしたんだけど、やっぱ足りないから…!」
チュッとリップ音をさせて、口唇にキスをした虎徹。
フフ…と嬉しそうに笑った。

「千香子さん、もっとしてい?」

「うん//////」
頷くと、また嬉しそうに笑って口唇を重ねてきた。
何度か重ねて、抱き締めた虎徹。

「あー、抱きてぇー」

「……/////」

「………って、ごめん(笑)
千香子さんも疲れてるよな?
ここんとこ、お互い忙しいもんなぁー」

「あ…//////」

「ん?
どうした?
あ!また、がっつき過ぎって怒った?(笑)」

「ううん…!」
ゆっくり首を横に振り、虎徹に抱きついた千香子。
虎徹が、優しく頭を撫でてくれている。


やっぱり、言えない。
抱かれたいなんて………


悶々とした気持ちを抱えながら、千香子は眠りについた。
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