〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
徹治と虎徹
「兄貴と俺、どっちがカッコいい?」

兄貴が死ななかったら、俺を好きにならなかった―――――――?




虎徹にとって徹治は、憧れで自慢の兄そのモノだった。

頭が良くて賢く、常にトップの成績。
そして人望に厚くて、強い。

さらにカッコ良くて、誠実。


でもそれと同時に、一番嫌いだった………


それは、いつも徹治と比べられるからだ。
虎徹だって、賢く学年三位以下を落としたことがない。
仲間は多く、強い。

容姿の高さは、虎徹の方が上。

なのに、徹治をみんな可愛がるのだ。

次第に虎徹は、ひねくれる様になり……

不良と付き合うようになる。
家に帰らなくなり、悪い仲間と過ごす日々。

煙草も中二の時から吸い、タトゥーを彫り、喧嘩三昧。

警察沙汰は、日常茶飯事だった。

徹治も不良だったが、喧嘩沙汰になったことはなく、両親や周りの人間を大切にしていた。

そこが、大きな違いだ。



中でも虎徹が最も嫌だったのが、それでも徹治は虎徹を可愛がっていたこと。

どんなに悪いことをしても、警察に世話になっても、徹治は絶対見捨てるようなことはなく、常に心配し、叱ってくれたのだ。

そんな誠実さが、益々虎徹をひねらせていく。



しかしそんな虎徹が、何故高校卒業と同時に足を洗ったのか。

それは、徹治の“ある言葉”からだ。




『虎徹。
お前が何をしても、例え取り返しのつかない罪を犯しても……俺は、絶対に見捨てない。
守ってやる。
……………その代わり、親父やお袋、ダチ、これから出会う、お前を大切に思ってくれてる奴等を泣かせることだけはやめろ。
それだけはするな』と………



その時に、虎徹は“やっぱ、敵わない”と思ったのだ。



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