〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
ホテル最上階のレストラン。
個室のカップル席。

並んで座る、虎徹と千香子。

「綺麗ね…///////
このレストランも、景色も…
虎徹くんも……!」

うっとりとして言う、千香子。

「それ、俺のセリフ!
スゲー綺麗だよ、千香子さん……!」

虎徹もうっとりとして、千香子の頬に触れた。
気持ち良さそうに頬擦りして、微笑む千香子。

自然と虎徹が顔を近づけると、千香子もゆっくり目を瞑った。

ゆっくり重なる、口唇。

チュッとリップ音がして離れて、額をくっつけた。
「虎徹くん」

「ん?」

「私…幸せ……!」

「俺も!」

美味しい酒や、料理に舌鼓をうつ。

本当に幸せな時間が、ゆっくり流れていた。


デザートが来て、今はコーヒーを飲んでいる二人。

虎徹は緊張した面持ちで、隣に座る千香子に向き直った。

「千香子さん」

「ん?」

小さな箱を出す、虎徹。

「え……これ…」


「森浦 千香子さん。
亡くなった兄貴の分まで、幸せにするって誓います!
俺の、嫁さんになってください……!!」

微笑み、千香子に婚約指輪を差し出す虎徹。

緊張はしていたが“当然のように”受け入れてくれると思っていた。


しかし………


「………」

「………え……千香子…さん?」

「………」

千香子の表情は、少し曇っていた。

「え…え……」

その表情に、虎徹は途端に不安でいっぱいになる。


「虎徹くん。
…………少し…考えさせてもらえませんか……?」


千香子の返事は……思いも寄らない言葉だった。


「…………なん…で……?」

虎徹は、言葉にならない。

「ごめんね」

「は?なんで!?
千香子さん、俺のこと好きじゃないの!?」

「好きだよ!大好き!!」

「じゃあ…なんで!!?」

「ごめん!」

「はぁ!?
謝ってほしいんじゃねぇよ!!
理由!!
理由を教えろよ!!
何!?俺の、何がいけない!?
すぐに直すから!!
頼りないとか!?
若いから!?
それとも……」

「虎徹くん!!落ち着いて!!?」

「落ち着いてられねぇよ!!
なんでだよ!!?」


とにかく虎徹は、納得がいかない。
理由が知りたい。

理由がわからないと、直しようがない。

でも千香子は、ただ…「ごめんね」しか言わなかった。


「…………なん、だよ…それ……」

虎徹は項垂れるように、個室を出て、店を出ていった。
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