〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
事故から、一ヶ月が経った。

虎徹は、一向に目を覚まさない。
虎徹の両親もずっとこっちに泊まり、声を掛けるが目を覚ます気配がない。


千香子は、不安に押し潰されていた。


「おじさん、おばさん。
今日だけ、虎徹くんの傍を離れていいですか?」

事故から一ヶ月。
頑なに虎徹の傍を離れなかった千香子が、初めて病室を出た。

「すみません、夜には帰ります。
何かあったら、連絡ください」


千香子は、ある場所に向かった。

「どこ行くの?」
「モリチカ?」

虎徹の両親に言われ、千景と天胡も同行している。
(万が一がないように)

「徹治くんのとこ」

「あぁ!」
「虎徹の兄貴?」

「うん。
大丈夫だよ。自殺なんかしない」

千香子達は、徹治の墓に向かった。


“原藤家ノ墓”

花を備え、手を合わせる千香子、千景、天胡。

「徹治くん、お願い。
虎徹くんを返して?」

千香子がポツリ、ポツリと話しだした。

「連れてかないで!お願い!」

「虎徹くんは、私の生きる証なの!」

「命は取り留めても意味がない!
目を開けてくれないと、意味がないの!
私を見てくれないと、意味がない!
いつもみたいに……甘えて、キスして、抱き締めてほしい。
虎徹くんに抱かれて、一度じゃ終わらなくて、包まれて眠るの。
“千香子さーん!”って犬みたいに駆け寄って、ずっと傍にいてほしい。
……………お願い!虎徹くんを、返して!!」


「私、強くなるから。
虎徹くんの、自慢の奥さんになるから。
徹治くんが安心できるように、一生懸命生きるから!
だからお願い!!」



「何でも…するから……」



力なく、千香子が言葉を吐き出す。



「これ以上……ワガママ…言わないから……」



千香子は、地面にペタンと座り込んで薬指の指輪に触れた。



「――――――――モリチカ!!!!」


そこに、千景の声が響いた。


「え………」

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