〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
退院祝いのパーティーが終わり、自宅マンションに帰ってきた虎徹と千香子。

「虎徹くん」

千香子が真剣な眼差しで、虎徹に向き直った。

「ん?」

「おかえりなさい!」

「フフ…ただいま!」

「助けてくれて、ありがとう!」

「うん!
でも、それ当たり前だから!
千香子さんは、俺の全てなんだ……!」

「虎徹くん。
虎徹くんはね“徹治くんの代わり”じゃないんだよ?」

「え?」

「虎徹くんは、虎徹くんだよ?
“代わり”だなんて、思ったことないよ!
虎徹くんは、私の生きる証なの!」

「千香子さん…//////」

「虎徹くんがいたから、生きてこられた。
決して諦めないで私の傍にいてくれたから、私はここにいられる。
虎徹くん。
…………過去を振り返っても、何も変わらない。
そりゃあ、徹治くんが生きてたら…
私は徹治くんだけを好きで、虎徹くんを好きにならなかったかもしれない。
自殺しようとするくらい、大好きだったんだから。
でも、徹治くんはもう…いない。
それが、現実。
“今”大好きなのは、虎徹くん。
それが、一番大事なこと。
だからって、徹治くんとの思い出も私にとってはかけがえのない大切なモノなの」

「うん……!」

「虎徹くんだけが好き!
虎徹くんがいい!
虎徹くんが、私の心を奪ったんだよ?
だから……私は虎徹くんの心、返さないよ!!
やっと、自信が持てそうなの。
虎徹くんが目を覚まさなくて、不安で潰れそうだったけど……
私ね“リストカット”なんて考えられなかった。
ただ…生きて、虎徹くんが目を覚ますのを待とうって思えたの。
昔の私じゃ…きっと、こんな風に考えなかったと思う。
少しだけど、強くなれた気がするの!
やっと、ちゃんと自分の足で虎徹くんの隣に立てそうなの!
だから絶対!返さない!!
ずっと、離れないから!!」

「うん!!
返さなくていいよ!!
俺も返すつもりないし!
俺の方こそ、離れねぇよ?」

虎徹は“たった今、やっと…”千香子を手に入れた気がしていた。


ずっと不安だった。

“兄貴の代わり”なんじゃないかと。

でも違った。

千香子さんは、ちゃんと“俺を”見てくれていたんだ。


虎徹は両手を広げ、千香子を抱き締めた。
千香子も抱き締め返す。

しばらく二人は、抱き締め合っていた。
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