〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
ドキドキ、ワクワクする―――――

恋人がいることが、こんなに心が躍るなんて長い間忘れていた。

千香子も虎徹とのメッセージのやり取りで、幸せを感じていた。

千香子は、ショッピンモール内のファッション系のショップで働いている。
ランチをしながら、スマホを扱っていた。

「モリチカ、お疲れ!
なーに見てんの〜?」

「え?あ、フジチカくん!お疲れ様!」

同じショップで働いている、藤戸(ふじと) 千景(ちかげ)
同じく千香子の同僚で、友人・紅尾(あかお) 天胡(てんこ)の彼氏である。

千香子、天胡、千景が働いているショップは、大手のブランドショップ。
メンズ、レディース、キッズの服や小物等が販売されている。


千香子と千景。

どちらも“ちか”がつくので、モリチカとフジチカと呼ばれている。
(天胡だけは“千香子”“千景”と呼んでいる)

「彼氏?」
スマホを指差す、千景。

「うん!」

「良かったな!」

「うん!」
頬杖をつき微笑む千景に、千香子も微笑んだ。

「…………じゃあさ」

「ん?」

「もう…“大丈夫だよな?”」
意味深に千景が言った。

真剣な眼差しで見つめ合う、千香子と千景。

「う、うん…」

「なんで曖昧な返事?」

「だ、だって…わからないし……」

「彼氏がいるだろ?
不安になったら、いつでも彼氏に頼れよ!
恋人ってのは“そうゆう存在”だろ?」

左手首のリストバンドをさする、千香子。

「ほら!“また!”
触るな!!」
千景が、千香子の右手を掴んだ。

「あ…」

千景と天胡は、唯一千香子のリストカットのことを知っている友人。

徹治のことや、自殺未遂のことを“知った上で”仲良くして気にかけてくれる、大切な友人カップルだ。

千香子の弱くて脆い部分を、理解し支えてくれている。



そして――――仕事が終わり、千香子はモール内の食品売場で食材を買い物し帰宅した。

「ただいまー」
声をかけながら部屋に入る。

虎徹はソファに座り、スマホを扱っていた。
千香子の存在を認めると、微笑み駆け寄ってきた。
「おかえり!
ん?千香子さん、買いモンしてきたの!?」
千香子の両手の袋を見て、驚いたように言った。

「え?うん!
今日新生活応援とかで、特売日だったの!」

「だったら、俺も行くのに!
呼んでよ!
重かったろ?」

「でも、ついでだし!
ほら!
食品売場は、職場の一階だもん」 

「それでも!!
一緒に住んでんだからさ!」

買ってきた物を整理しながら、少し怒ったように言った。

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