〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「虎徹くん、こちらは藤戸 千景くん。
フジチカくん、こちらが恋人の原藤 虎徹くんだよ。
フジチカくんは私の友達の彼氏さんで、同じショップの同僚なの!」

「ふーん」
(あー、家にあった灰皿カップルか)

「お前か!彼氏」

まだ、睨み合っている二人。

そんな二人の間で、千香子は(二人が揃うと、それはそれで怖いかも…)とビビっていた。

千景と、あと天胡も元・不良。 
千景は、首に小さなトカゲのタトゥーを彫っている。
(もちろん、仕事中は見えないようにしている)
そして天胡も、足首に同じくトカゲのタトゥーが彫られている。

何故か千香子は、元・不良を呼び寄せるのだ。
(ちなみに、徹治も実は元・不良だ)
  
「………」
(ま、まさか…殴り合ったりしないよね…?)
千香子は怖くてビクビクしながら、ただ二人を見上げていた。


「―――――千景!お待た……ん?
あれ?千香子だ!
ん?イケメンがいる」

そこに、天胡が現れた。

「あ…天ちゃん!」

「千香子、このイケメン誰?」

「あ、恋人の……」
「あー、君が千香子の!
へぇ~!
ほんと、千香子の言う通り、イケメンね!」

天胡のおかげで、なんとか場が落ち着いた。


“今度、食事でも行こ!”
天胡はそう言いながら、まだ睨みつける千景を連れて行った。

千香子は、恐る恐る虎徹を見上げた。

「虎徹…くん?」

「千香子さん」

「は、はい!」

「フフ…そんな、ビビんなよ(笑)
千香子さんに怒ったりしないから!」

「だ、だって……」

「ただ…さ!」

「え?
――――――えーーー!ちょ…ちょっと……!!!?」
虎徹が、千香子の頭をグシャグシャと乱暴に撫でだした。

「………」

「ちょっと!虎徹くん!」
虎徹の手を掴む。

「無防備に、触らせんなよ……」
ボソッと呟く、虎徹。

「え?
ごめん、聞こえない」

今日は、ゴールデウィーク真っ只中。
大勢の客で埋め尽くされている。
なので、ボソッと言った言葉は聞き取れない。

千香子は、背伸びをして虎徹に耳を寄せた。

「………」

「ん?何?」

「………好き…千香子さん」

「…………え…!?//////」
バッと離れ、向き直る千香子。
顔が真っ赤だ。

「ほら、行こうぜ!」
グシャグシャの千香子の髪の毛を直しながら、微笑み言った。
< 20 / 139 >

この作品をシェア

pagetop