〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
手際よく調理する虎徹を、カウンター越しに見つめている千香子。

「………」
(ほんっと、何でも出来るよね…虎徹くん。
虎徹くんには“不可能”って文字、ないのかな?)

千香子のリクエストで、ロールキャベツを作っている虎徹。
作った事あるのでは?と思えるほどに手際がいい。

「虎徹くん」

「んー?」

「虎徹くんが苦手なことって何?」

「ん〜
苦手……」
宙を見ながら、考えている。

「ないんだ(笑)」
苦笑いをしていると、ジッと見つめてきた。
 

「…………ん?何?」

「千香子さんに、嫌われること」

「………」

「………」

「………え…?」

「それだけは、耐えられない」

まさか、そんな答えが返ってくるとは思わない。
千香子は固まっていた。

「……/////」
そして、次第に顔が赤くなっていく。

「あ、照れてる(笑)
可愛い!千香子さん」
虎徹はクスクス笑って、調理を再開した。


「―――――美味しい〜!」
「良かった!」 
顔をほころばせる千香子に、虎徹も嬉しそうに笑う。

「んー!ご飯が進む〜!」

「………」
ニコニコしている千香子を無言で見つめ、虎徹は千香子の頭をポンポンと撫でだした。

「ん?虎徹くん?」

「あいつ…あの、トカゲとはいつから仲良いの?」

「へ?トカゲ?」

「トカゲ。
首にトカゲ買ってる奴」

「…………あー、フジチカくん?」

「うん」

「二年前にこの街に来て、最初は小さなアパートに住んでたの。
そのお隣さんだよ」

「トカゲカップル?」

「ううん!フジチカくんだけ」

「へぇ。なんかされなかった?
あいつ、千香子さんのこと好きっぽいじゃん」

「ううん!
…………フジチカくんね。
天ちゃんに一目惚れして、ウチのショップで働き始めたんだよ(笑)
天ちゃんが遊びに来てくれた時、フジチカくんとこも友達が来てて。
騒いでて、隣の私達のところまで声が漏れてて(笑)
天ちゃんが怒って、怒鳴り込みに行っちゃって……(笑)
天ちゃん、キレると男の人並みに怖いの(笑)」

「へぇ…」
(確かに、キツそうな女だったかも)

「凄かったんだから(笑)
“うっせぇんだよ!?近所迷惑考えろ!!”って」

「フジチカくんの友達も凄んできたんだけど、天ちゃんはビクともしないから。
その姿見て、フジチカくんが興味持ったみたいで!
それが縁で、仲良くさせてもらってる。
天ちゃんは、こっちに来てすぐに職場で仲良くなった子だよ!
あ!怖いけど、良い人達だよ!
天ちゃんも、フジチカくんも、フジチカくんの友達も!」
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