〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
何故か、喧嘩腰の二人。
互いにいがみ合っていた。
しかし、仲が悪いわけでない。

「フッ……あーあ、私の可愛い、可愛い千香子だったのにぃ!」 
少し笑って言う、天胡。

「フッ……いやいや“俺の”千香子さんだし」
虎徹も笑った。

「ねぇ」

「ん?」

「“絶対に”傷つけないでね」

「当たり前」

「まぁ…あんたの方が千香子のことを知ってんだろうけど、まだ千香子は“乗り越えてないから”」

「うん、わかってる」 
虎徹と天胡は、接客中の千香子を見つめていた。


“もうすぐ上がりだから”
と言われ、半ば無理矢理追い出された虎徹。

モール内にある、喫煙所にいた。
他には誰もいなくて、今一人だ。

「追い出された…」
ブスッと膨れて、不機嫌な虎徹。

声をかけずに、遠くから見てれば良かった。

「………って、さすがにそれはキモいだろ!」
思わず声となって出てしまう。

大きなため息をつく。

出来ることなら、ずーっとくっついていたい。


千香子さんがあの街を出て二年。

ただ会いたくて“二年なんてあっという間”だと言い聞かせて頑張ってきた。

別れたあの時と変わらない…いや、もっと綺麗になった千香子さんに、更に絆されるように心奪われた。

千香子さんにもう二度と苦しい思いも、悲しい思いもさせたくなくて、投資で金を貯め、どんな仕事に就けば千香子さん中心に暮らせるかを考え、そのために必死に頑張ってきたんだ。

再会した日。
駅で千香子さんを見つけた時、俺がどんなに嬉しかったか知らないだろう。

もうずっと傍にいることができるのに、どうしようもない欲ばかり出てきてしまう。


「あーーーもぉーー!!!!
千香子さんも、俺に絆されてほしーーー!!!」

喫煙所内で、虎徹は思いを吐き出すように一人叫んでいた。

ポケットに入れていたスマホが震える。
「あ!やべっ!!」

慌てて確認すると、千香子からで。
【虎徹くん、何処?
トイレ?
まさか、帰っちゃった!?】

すぐに電話をかける。

『虎徹くん!!?』
コール音がなるかならないかで、千香子が出た。

「千香子さんごめん、俺―――――」
「今何処!?」

焦ったような千香子の声。
どこか泣いてるような声色に、虎徹は何度も謝り、千香子の元へ急いだ。
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