〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
それからの千香子さんは、少しずつではあるが昔の千香子さんに戻っていった。

でも不安になると、リストカットをする。

そんな脆い千香子さんだが、俺は必死に支えてきた。

このまま、俺を彼氏にしてくんないかな?と淡い期待を寄せながら………


そして、千香子さんの大学卒業の日。

「―――――は?
○○に就職するんじゃなかったの!?」

「断ったの」

「なんで!?」

「虎徹くん。
私ね、この街を出て、一人で頑張っていきたいと思ってる」

「え……」

「虎徹くんには沢山…本当に沢山お世話になってきた。
でも…このままじゃ、ダメだと思うの。
虎徹くんまで、ダメにしてしまいそうで……」

「は?
勝手なことすんなよ!!
いいじゃん!
俺が、ずっと傍にいて守ってあげるよ!?」

「ダメだよ!!
こんな私といちゃダメ!!
私、強くなりたい!
虎徹くんに相応しい女になりたい!!」

「ズリぃよ…」

「うん。わかってる」

「好きなんだよ、千香子さん」

「………私も…」

「え?」

「……………好きだよ…!」
微笑み言った、千香子さん。

「だったら……!」
俺は嬉しくなって、千香子さんの肩を持ち期待を込めて言葉をぶつけた。

「だから、ダメ!!」

「………」

「ごめんなさい、虎徹くん」

「………」
力なく、手が落ちた。


「今まで、ありがとう!」 


“私も好きだよ”

なんでこんな形で、千香子さんの想いを聞かなきゃならねぇの?

勝手過ぎんだろ!!こんなの……


そして、千香子さんがこの街から出ていく日。

俺は、駅に向かった。
「―――――千香子さん!」

「あ、虎徹くん!
わざわざ、見送りに来てくれたの?
虎徹くん、元気で――――――」 

「二年!!」
俺は、千香子さんの言葉に被せるように声を張り上げた。

「え?」

「二年後、千香子さんのとこに行くから!」

「え?え?」

「二年だけ待ってやる。
二年で、強くなってよ!」

「虎徹くん…」

「で!俺を、彼氏にして?」

「………」

「俺のこと、好きなんだろ?
だったら、出来るよな!?」

「………」

「俺も、もっと強くなって、千香子さんをもっと支えられるようになるから!」

「………」

「二年後、俺と始めよ!!
兄貴のことは過去のこととして、俺と幸せになろ?」

「………うん!わかった!」

千香子さんが、ふわりと笑う。
俺の一番好きな笑顔だ。


「千香子さん、これ…持ってて!」 

俺とお揃いのブレスレット。
千香子さんは、大事そうに両手で包み込んだ。

「必ず、会いに行く!
だから、待ってて!」



“二年後、幸せになろう!”

俺達は約束を交わし、握手をして別れた。
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