〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「………」

怒っているが、どこか切ない表情の虎徹。

千香子は掴まれていない方の手で、虎徹の頭をゆっくり撫でた。
少しずつ、虎徹の雰囲気がおとなしくなって……

そのまま虎徹は、千香子に覆いかぶさり千香子の肩の辺りに顔を埋めた。


「…………ごめん、千香子さん」
「え?」

「嫉妬…した」

「フフ…うん」

「笑い事じゃねぇよ…」

「フフ…フフフ…」
向き直った虎徹。
千香子は、クスクスと嬉しそうに笑っていた。

「そんな笑うなよ!」

「だってぇー、嬉しいんだもん!
“それくらい”私を想ってくれてるってことだし!」

「あーそうだよ!
好き、好き、大好き!!」

「フフ…私も!好き、好き、大好き!
フフ…フフフ…」

「あーもぉー!笑いすぎ!!
犯すぞ!?」

「いいよ?(笑)」

笑う千香子に食いつこうとして止まった、虎徹。
「あ…やっぱ、ダメだ!」

「え?あ、虎徹くん病み上がりだもんね!
ごめんね!
調子に乗りすぎた!
ごめんなさい!」

「そうじゃなくて。
俺はいいんだ。
ほんとに、元気になったから。
でも、万が一でも千香子さんに移したらやだから!」

「いいのに…
でも、ありがと!」

微笑む千香子に、虎徹も微笑んだ。



後日。
虎徹が、糸岩と二人でランチに出ていると………

「あれ?虎徹くん!」
愛おしい千香子の声が背後から聞こえてきた。

「え?
あ!千香子さん!」
思わず駆け寄り、手を取った。
絡めるようにして握りしめた。
思いがけず会えて、嬉しさが増す。

「フフ…なんか、嬉しい!
こんな所で会えて!」
「うん!」

「ランチ?」
「うん、先輩と!」

「そっかぁ!」

そこに、糸岩が二人の間に割ってきた。

「千香ちゃん?じゃね?」

「え?
…………ノブくん!?」

「久しぶりだな!」

「うん!」 

「あれ?
え?え?
なんで、原藤くんと千香ちゃんが?」

「虎徹くんは、徹治くんの弟さんだよ?」

「えー!?
徹治の!?
ま、マジで!?
確かに、同じ苗字だが…
てか!弟って“あの”とんでもない不良の!?」

糸岩が、虎徹をマジマジと見る。
「なんですか!?
つか!千香子さん、どうゆうこと!?」

「あ、ノブく……糸岩くんは、私と徹治くんの高校の同級生だよ!
信忠(のぶただ)くんだから、ノブくん。
あの頃は、よく一緒にいたの!
徹治くんと、仲良くて」

「兄貴の?
高校の時ってことは、糸岩さんも不良じゃん!」

「あ、まぁな(笑)
それにしても、懐かしい〜
ところで、徹治は?
いいの?
徹治の弟と仲良くなんてしてたら、あいつ嫉妬すんぞ?(笑)
お前等、ラブラブだったもんなぁー」

「あ…」
千香子が左手首のリストバンドをさすりだした。
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