〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
トイレにいる、千香子。
用を済ませ、手を洗っていた。

「わっ…!」
すると、リストバンドにおもいきり水がかかる。

周りに誰もいないことを確認して、リストバンドを外した。
リストカットの傷痕を優しくさする。

「………」
(フフ…虎徹くんや、天ちゃん達のおかげで少しずつ痕が薄くなってきてるな……!
感謝しなきゃ!!)

もう二度と、傷つけない!!

もう一度そう自分に誓い、バッグに常備している代えのリストバンドを取り出した。

「…………え…それ…リストカットですか……?」

「え……」

後ろに久賀がいて、ひいたように傷痕を見ていた。

慌てて、代えのリストバンドをつける。

「…………キモッ…」

「え……」


“キモッ”

たった……

たったその一言で、千香子の心が死んだ。



「―――――モリチカちゃんと久賀さん、まだかな?」
同僚がトイレの方を見て言う。

そこに天胡のスマホが震えて、千香子からメッセージが入ってきた。

【急用思い出したの。
先に帰るね!
みんなにも、よろしく言っておいて】

「………」

「紅尾さん?」
「天胡ちゃん、どうしたの?」

そこに、久賀が戻ってくる。

天胡が有無を言わせず、久賀に掴みかかった。

「ねぇ!千香子、何があった!!?」

「え……」

「言えよ!!
あんた、トイレ行ってたじゃん!
千香子いたよね!?
何があった!!?」

「あ…な、何も……」
凄まじい天胡の雰囲気に、ビクビク怯えて言う久賀。

「ちょっと、天胡ちゃん!」
「どうしたの!?」

「千香子から変なメッセージが来た。
千香子は急用が出来たら、直接私達のところに来て事情を話す子。
真面目だから、ペコペコ謝って、代わりにとか言って“ここは私が奢る”とか言い出すような子なの。
そんな千香子が“急用が出来たから、先に帰る”なんて、言うわけない!
……………もう一度聞く。
千香子に、何があったの!?」
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