〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
どうか…俺を忘れないで
「――――――千香子さーん、まだ〜?」

二人の休日。
連休に虎徹の実家に行き、徹治に会いに行こうということにした、虎徹と千香子。

その後、旅館で一泊して帰る予定だ。

ゴロゴロと、小ぶりのキャリーケースを引いてきた千香子。
「お待たせ〜」

「フッ…千香子さん、家出すんの?(笑)」

「え?」

「荷物、多くね?」

「そう?
なんか色々考えてたら、こんなことに……
ほら!洋服汚すかもだし、汗かくし、もし冷えたりしたらとか!」

「そうなったら、俺が服買ってやる!」

「は?もったいないよ!!」

「フッ…相変わらず、ケチだね(笑)」

「なんですって!!
“節約上手”って言って!!」

虎徹が噴き出し笑うと、千香子も笑った。



虎徹が千香子のキャリーケースをゴロゴロし、反対側の手で千香子と手を繋いでいる。
虎徹はカジュアルなリュックをからっている。

「虎徹くん、自分でゴロゴロするよ?」
「いいの!」

「………」
千香子が虎徹の前髪辺りをポンポンと撫でた。
(身長差があるので、背伸びしないと頭上に届かないので)

「ん?千香子さん?」

「虎徹くん、ほんと…最高の彼氏だね!
私にはもったいない……」

「それは、こっちのセリフ!
…………まぁ、でも!ケチケチしないで俺のこと欲張ってよ?(笑)
千香子さんには、その権利があるだろ?」

「フフ…うん!」

「あ!だから、俺も欲張るからな?
千香子さんは、俺だけのモン!!」


駅に着き、新幹線に乗り込む。
「千香子さん、窓側ね!」
「いいの?」

「もちろん!」
「ありがとう!」

窓側に座り、荷棚にリュックとキャリーケースを持ち上げ置いている虎徹を見上げる。
「ん?何?」

「いいなぁ~と思って」

「ん?」

「虎徹くん背が高いから、楽々と荷物を棚に持ち上げられるでしょ?
しかも、背伸びもしてない。
私、大変なの…(笑)
ち、チビだから…」

「フッ…可愛いじゃん!(笑)」
クスクス笑い、千香子の隣に座った。

「あー、可愛いって言えば済む問題じゃないから!
結構、大変なのよね…
今日みたいなキャリーケースなら足元に置けるけど、鞄とかだと膝の上にずっと抱えるわけにはいかなくて……」

「長時間はきついな…」

「あ、でも!
駅員さんや、近くの優しい男性が上げてくれる時があるの!
やっぱ、優しい人はいるんだね〜!」 


「……………は…?」

思いがけない千香子の言葉に、虎徹はまた子どものようにヤキモチを妬くのだった。

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