〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「――――虎徹くん、そんな怒ることないでしょ?」
ヤキモチで、不機嫌になった虎徹。
千香子は虎徹の手を取って指を絡めて繋ぎ、顔を覗き込んだ。

「別に怒ってねぇもん…」

「親切な人がいるねって話しただけだよ?」

「いや、違う」

「ん?」

「千香子さんが可愛いからだよ?きっと」

「そ、そうかな?」

「まぁ…駅員は、それも仕事だからだろうけど」

「虎徹くんは、相手の可愛さで手伝うか決めるの?」

「そうじゃねぇけど…」

「でしょ?
たまたま隣に私がいて、苦戦してたからだよ、きっと!
その人も、わざわざ遠い席から来てくれたわけじゃないし」

「そうだけど!」

「…………でも可愛いね、虎徹くん」

「はい?」

「ヤキモチ妬く虎徹くん、可愛い!」 

「……/////」
ニコニコしている千香子に、虎徹はなんだか負けた気になる。

グッと千香子に顔を寄せた、虎徹。
「……/////ちょっ…虎徹く…//////」

「何度も言ってるよな?
可愛いのは、千香子さん!
ほら、すぐに顔を赤くするだろ?」

「だ、だから、それは…//////」
(こんなイケメンが目の前にいたら、顔赤くなるよぉー)

「フフ…可愛い〜」
(よし!勝てた!)



「――――でも、久しぶりだな〜
あの街に帰るの。
徹治くんに会うのも…」

新幹線に揺られながら、何気ない話をしている虎徹と千香子。

千香子が懐かしむように言った。

「親父とお袋も、千香子さんのこと心配してたよ?
二人の中では、千香子さんが兄貴の嫁に来ると思ってたみたいだし!」

「え?そうなの!?」

「あぁ。
兄貴はきっと……病気がなかったら、とっくに千香子さんにプロポーズしてただろうし」

「そうなんだ…!
私も、あの頃は“そうなりたい”って思ってたよ?」

「……………きっと……
敵わなかっただろうな…
兄貴には」

「え?」

「千香子さんのこと、奪ってやるって思ってた。
でも、なかなか千香子さん俺を見てくんなくて……
兄貴も、気安く会うな、触るなって言うしさ!
千香子さんのこと、大事にしてた。
千香子さんも、兄貴ばっかだったし」


「そ…だね…(笑)
―――――――でも今は、虎徹くんが大好きだよ!」

微笑み見上げる千香子。
虎徹もゆっくり千香子に顔を近づけ、嬉しそうに笑って「俺も、千香子さんだけ…」と呟いた。

チュッと軽く、キスをした。
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