〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「――――千香子さーん、まだ〜?
腹減ったー!」
向かいに座る千香子を急かす、虎徹。

「はい!ちょっとお待ちを!
よし!オムライスにする!」

注文をして、不意に虎徹が言った。

「…………あの海…」

「え?」

「さっきの…
あの海、兄貴との思い出とか?」

「え?」

真っ直ぐ見てくる虎徹に、千香子はゆっくり頷いた。

「やっぱ、そう…か…」

「あの海で、言われたの。
病気のこと…」

「そう…」

「あの時……何のことか、わからなかった。
目の前にいる徹治くんは、何を言ってるの?って。
泣き叫ぶとか、そうゆう以前に認識?ができなかった。
感情がわからなくなったの」

「そっか…」

「時間が経つにつれて、徹治くんに一生会えなくなるって認識してきて……
何度も徹治くんに訴えた。
“私も、連れて逝って”って」
 
「………」

「徹治くん、言ったの。
一緒に逝ったら、本当に死ぬだろ?って。
どちらかが生きてたら、どちらかの心の中で生き続けることが出来る。
俺は、生きられない。
だから、千香子が生きろって。
………………その時、徹治くん言ってた。
“大丈夫。千香子はまた、幸せになれる”って」

「え?」

「きっと…徹治くんは、わかってたんだろうね。
徹治くんが亡くなっても、虎徹くんが私を支えてくれて、私は虎徹くんを好きになるって!
だから、そんな言い方したのかなって」

「そうか…
さすが、兄貴だな……!」

「うん、さすがだね!」

「………」
向いで微笑み頷く千香子を見ながら、虎徹は(やっぱ、兄貴には敵わねぇや)と思っていた。


ランチをして、また手を繋いであてもなく歩く。
「なんか、穏やかな時間だね!」
「フフ…確かにな(笑)」

「…………私、生きてて良かった」

「え?」

「徹治くんの言う通り、生きてて良かった!
虎徹くんのおかげで、幸せだもん!」

「フフ…うん…!」

「ありがとう!虎徹くん!」

「うん!
あ、でもー、その気持ちを態度で表してほしいな〜」

「え?態度?」

「うん。
キスとかぁー、キスとかぁー、キスとか!」

「……/////」

「ほら!こっち!」
千香子を人気のない所に引っ張り、屈んだ虎徹。
「して?千香子さん」

目を瞑り、千香子の顔の前に顔を突き出した。

「……/////」

早く〜と急かす虎徹に、千香子はチュッとキスをした。

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