〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
千香子が食事をして帰るのなら、自分は仕事をして気を紛らわそう。

そう思い、遅くまで仕事をしていた虎徹。
行橋も同じく残業をしていて、仕事終わりに食事することにした二人。

同じく同僚に聞いた串揚げ屋に、来店したのだ。


「そちらの席へどうぞ?」

店員に誘導され、ふと斜め前の座敷に目をやると……

「え……千香子、さん?」
虎徹が固まる。

「ん?
原藤くん、どうした?」

千香子を見つけたのだ。

一気に、嬉しくなった虎徹。
どうにかして同席させてもらおうと思い、席に近づく。

すると―――――――
隣に座っていた男が、千香子に顔を近づけているのが目に入る。
虎徹の方からは、キスしようとしているように見えた。

瞬間的に千香子に駆け寄り、首東から離すように千香子を抱き寄せたのだ。


「俺の女に何しようとしてんの?」

虎徹は鋭い視線と雰囲気で、首東を睨みつけていた。

「は?君、誰?」

「は?お前こそ、誰だよ」

「あ!シュトくん!
こちらは、恋人の虎徹くんです」

「あー、例の“サカりのついた虎”ね?(笑)」

「は?」

「虎徹くん!
こちらは、首東くん」

「あー、あの電話の奴か!」

「ところで虎徹くん、どうしてここに?」

「あー」

「あー!虎、まさかお前!」
「GPSで、千香子を追ってきたんじゃないでしょうね!?」

「は?
さすがにそこまでしねぇよ!!
つか!トカゲカップルは黙れ!!
……………千香子さん。先輩と残業してたんだ。
で、腹減ったから、ここが旨いって聞いて来たの」

「そうなんだ!
こちらが、先輩さん?」

「うん、行橋さん!」

「行橋さ……あ!パーカーの人だ!」

「は?」
「パーカーの人?」
「なんだそりゃ…」
「さぁ?」
虎徹、首東、千景、天胡の順に行橋を見て言った。

「まさか、原藤くんの彼女だったなんて…!」

「虎徹くんの、先輩さんだったんだぁ」

「なんで知ってんの?」

「お店に来てくれて、私が接客したの」

「ふーん…
でもなんで、行橋さんのこと覚えてたの?」

「へ?だって、カッコ……あ、いや…な、なんとなく…だよ?」
(“カッコ良かったから”なんて、言えない……)

「………」

「こ、虎徹…くん?」

虎徹が、完全に不機嫌になってしまう。

その後、虎徹と行橋も同席したのはいいが、虎徹は千香子にべったりくっついて腰まで抱いていた。


「千香子さん、もう…帰ろ?」

そして、千香子に耳打ちしてきた。
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