〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「―――――虎徹くん!虎徹くん!」

「なんだよ」

「歩くの、早い…
追いつけない…」

虎徹の早足に引っ張られ、必死について行く千香子。
足がもつれそうで、虎徹に訴えるように言った。

「あ…ごめん…」

「ちょっと、座っていい?」

「うん」

近くにある、ベンチに腰かけた。
「ふぅー」
息を吐くと、虎徹が「ごめん…」と頭を下げてきた。

「いいよ。
でも、どうしたの?」

「………」

「虎徹くん?」
千香子が虎徹の頭をポンポンと撫でると、その手首を掴まれた。

「千香子さん」
掴んだ手首を握り、鋭い声色で言った虎徹。

「………っ…!」
虎徹的には軽く握っているつもりなのだろうが、千香子の細い手首にはかなりの負担だ。
思わず顔をしかめる。

「俺のこと好きだよね?」

「え?あ…うん」

「ちゃんと言って?」

「好き」

「もっと言って?」

「好き!好き!」

「じゃあさ…
キスしてよ」

「え……!?/////こ、ここで!?」

「うん、ここで」

「ここは、人いっぱいいるし…//////」

「関係ねぇよ」

「関係あるよ!
いつも言ってるでしょ?
TPOは大事って」

「でも時として、TPO無視も大事」

「え?
虎徹くん、どうしたの?変だよ?」

「俺は変じゃない。
最初から何も変わらない。
千香子さんに出逢った時から、千香子さんしか見てないし、千香子さんのことしか考えてない。
サカりのついた虎なのも、TPO無視するのも最初から」

「それは、そうだけど…」

「それに!
今、必要なんだ!
千香子さんとのキス」

「え?」

「なんで、千香子さんそんな可愛いの?
色んな奴を虜にしてさ。
俺以外の奴等に笑いかけるなよ。
優しくなんかすんな」

「虎徹くん…」

「ムカつくんだよ……」
そう呟いた虎徹の顔が近づいてくる。

「え……虎徹く…やめ――――――」




「千香子さんは、俺だけのモンだろ……?」


そして……二人の口唇が重なった。

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