〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「――――で?
何があった?
虎徹(徹治の弟とわかってから呼び捨て)と喧嘩でもした?」

「え?
……///////」
向かいに座る糸岩が、頬杖をつき見つめている。

糸岩も虎徹同様、かなりのイケメン。
その姿が、あまりにも美しい。 

糸岩に恋心がなくても、見惚れてしまう。

「俺で良かったら、聞くよ?
高校ん時も、よく相談相手になってあげてたでしょ?
なんか俺達、兄妹みたいだったじゃん!(笑)」

「喧嘩なんかしてないよ。
虎徹くん、優しいもん」

「徹治みたいだな(笑)」

「あ、そうだね(笑)」

「千香ちゃんにだけは、ほんと優しかったもんなぁ〜徹治」

「そうかな?」

「うん。
千香ちゃんに嫌われないように必死だったからな、あいつ(笑)」

「フフ…」

「まぁ、虎徹もだけど(笑)」

「え?」

「やっぱ、兄弟だからかな?
似てる!」

「そうなの?」

「あぁ!
かなり心配性っつうか……
千香ちゃんが職場で告られてないかとか、かなり気にしてるみたい」

「…………虎徹くんは?」

「え?」

「虎徹くんは、ないの?
告白されたりとか……」

「………あるよ」

「そ…なんだ……」

「でも、ちゃんと断ってる。
当たり前だろ?」

「え?あ…うん…」

「………」
しかし、糸岩の頭には“あの日の光景”が蘇った。

 
産婦人科から出てきた、虎徹と井野。

なんであの二人?
噂、本当とか?
いやいや、虎徹が千香ちゃんにベタ惚れなのは誰が見てもわかるし……



「ノブくん?」

「え?あ…ごめん。
とにかくさ。
不安なことがあるなら、本人に聞きなよ」

どっちにしても、何か理由があるに違いない。

糸岩は、千香子を見据えて言ったのだった。



そして――――虎徹の勤める会社近くのベンチで、千香子は虎徹が出てくるのを待っていた。

少しでも早く会いたいと思ったからだ。

不安が現れているかのように、ずっと左手首をさすっていた。

しばらくすると、社員達が退社してきてぞろぞろと出てくる。

思わず立ち上がり、虎徹の姿を探す。

すると………
「あ…虎徹く―――――」

虎徹が、井野と一緒に出てきた。


その瞬間、千香子は力が抜けたようにベンチにへたり込んだ。

「あの人、香水の人……」

今日、たまたま横にいた香水の女性だったのだ。
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