〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「―――――ただいま〜千香子さーん!」

自宅マンションに虎徹が帰って来る。
しかし、千香子がいない。

「え?
千香子さん?」

虎徹はスマホを取り出し、千香子にかけた。
何度鳴らしても、千香子は出ない。

「は?なんで?」

今日は仕事が休みなはず。

「急遽、仕事が入ったとか?」

虎徹は、直ぐ様千香子が勤めるショッピングモールに向かった。

ショップに向かうが、店内にもいない。
ちょうど千景がいて、千香子のことを聞いてみる。

「は?モリチカ?
今日あいつ、休みだぞ?」

「だよな…
でも家にいないし、電話も出ない」

「何?やっぱ、なんかあったのかよ!?」

「は?」

「最近、モリチカ元気なかったからなぁ。
本人は“元気”っつってたけど、明らかに元気なかった。
ほら、あいつって顔にわかりやすく出るだろ?」

「………」

「お前、何も知らないの?」

「………うん…」

「変な気、起こさねぇといいが……」

「冗談やめろよ…」

虎徹と千景が意味深に見つめ合う。

嫌な予感がする―――――――


虎徹はもう一度スマホを取り出し、千香子にかけた。
「……………なんで出ねぇんだよ!!?」

「虎、俺の仲間に連絡して探させる。
お前も、心当たりを探せ!」

「わかった!」
虎徹はショップを出た。

何度も電話をかけながら、手当たり次第探す。
しばらくして、千景から連絡があり“天胡と一緒にいる”と聞かされた虎徹。


急いで、千景と天胡が同棲するマンションに向かった。

チャイムを間髪入れずに何度も鳴らす。
「あーもー!
うっせぇんだよ!!
わかってんだから、ちょっと待ちなさいよ!」

「千香子さんは!!?」

「いるわよ。
でも、落ち着いて!
“絶対”千香子を責めないで」

虎徹は、深呼吸をして「わかった」と頷いた。


天胡に続いて、中に入る虎徹。
千香子はソファに座り、身体を縮こませて左手首をさすっていた。

虎徹の胸が、鈍く痛む。

「千香子…さ…」
自分でもびっくりするくらい、弱々しい声が出た虎徹。

ビクッと震えて、千香子がゆっくり虎徹の方を向いた。

ゆっくり千香子に近づき、千香子を抱き締めた虎徹。
「良かっ…た…無事で…」

でも千香子は抱き締め返すことなく、抱きすくめられたままだ。

「千香子さん、帰ろ?」
向き直って、千香子の頬に触れた。


千香子の目から、涙が溢れる。

「ど……して…?」
< 64 / 139 >

この作品をシェア

pagetop