〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
駅で別れた、虎徹と千香子。

千香子が乗ったであろう電車が行くのを確認して、駅前のコンビニに向かった虎徹。

煙草とシュークリームを買って、コンビニを出た。
「あ、コーヒーも買えば良かった…」

ポツリと呟きながら、ゆっくり歩いて自宅マンションに向かう。

すると後ろから、バイクのエンジン音がしてクラクションが鳴り響く。

「あ?
うっせぇなぁ!!」
怪訝そうに振り向く。
五台程のバイクがこちらに向かって走って来ている。

すると、虎徹の横で一台のバイクが止まった。

「は?」

「虎!お疲れ!」
ヘルメットを取った男は、千景だった。

「あ…千景だ」

「何してんの?」

「見ての通り、家に歩いて帰ってる。
つか!お前、仕事は?」

「は?今日、休み」

「はぁ!!?
休み!!?
だったら、お前が出ろよ!!」

「は?話が見えねぇんだが?」


近くの公園でバイクを止め、ベンチに座る。
千景率いるバイクの軍団の中に、なんと糸岩もいた。

「虎徹、お疲れ」
「は?ノブさんがいる。なんで?」 

虎徹が徹治の弟だとわかり、互いに“ノブさん”“虎徹”と呼び合っている。

「モリチカを通じて知り合った。
最近、よく一緒にバイク乗り回してる!」

「ふーん…
それよりも!!
今からでもいいから、仕事に出ろ!!
んで!千香子さんを返せ!」

虎徹が事情を説明する。

「あー、俺ここんとこ15連勤しててさぁー
だからモリチカに頼んだのかも?」

「は?」

「今、季節外れのインフルが流行ってるだろ?
ウチも休みが多くてよ…
天胡とナリカワ、大変そうなんだ。
だから、堪えてくれ!」

「………」

「15連勤って…ヤベぇな……
つか!この前も連勤してなかった?
労基もクソもねぇ…(笑)」
糸岩が苦笑いをしている。

「でもノブも連勤してんじゃん!」

「あー、俺達の会社は“年に120日”って決まってっから!
しかも、有給消化も別に取らねぇとだから…
実質、もっと休みがある。
だから年間120日取ってれば、変な話一ヶ月休まなくてもOK!
まぁ…そんな奴、いねぇけど(笑)
な?虎徹」

「うん」

「120って、いい会社だな(笑)」

「だろ?
その代わり、ノルマが厳しいけどな(笑)
だから、休みでも家で仕事してる奴結構いる(笑)
あ、もちろん、給料発生しない」

「へぇー、虎とノブも?」

「まぁな」
「俺も」

「多少は家でもしないと、こなせないしな(笑)」
「だよなぁー(笑)
年休120日+有給って聞こえが良いが、蓋開けたら………な?」

「あぁ…(笑)
結構、ヘビー……」
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