〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「入学して、一緒のクラスになって席が近かったのが縁でさ。
最初は千香ちゃん、全然!俺達に興味すら持ってくんなくて(笑)
ほら、俺と徹治は既に不良だったし」

「へぇー!」

「でも夏休み前に、突然千香ちゃんが声をかけてきたんだ―――――――――」



九年前。

『あの!原藤くん!』

『ん?』

『勉強、教えてくれませんか?』

『え?』

『だって、原藤くん。トップだし! 
お願いします!
私、このままだと補習になるの。
夏休み、色々したいことがあるから、その……』

『…………いいよ』

『ほんと!
ありがとう!』

『その代わり、俺の女になってよ?』

『え?』

『ダメ?』

『どうして?』

『どうしてって、森浦可愛いから!』

『………』

『森浦?』

『…………原藤くんって、頭良いのに恋愛に関してはおバカさんなの?』

『はい?(笑)』

『お付き合いって、お互いに好きだからするんだよ?
可愛いからとか、勉強教えるからとかでするもんじゃないよ?』

『は?
俺、好きだよ。森浦のこと』

『は?
どこが?』

『うーん…そうだなぁ、その真っ直ぐなとこ』

『え?』

『森浦って、明るくて真っ直ぐじゃん!
そうゆう所、可愛い!
あ!もちろん、容姿もな!
だから毎日、口説いてたつもりなんだが。俺』

『え?あれ、口説いてたの?
からかわれてたのかと…』

『うーん…そうだろうなぁー
森浦、嫌そうだったもんな(笑)』

『だって!
ちょっかいばっかかけてたでしょ?』

『フフ…まぁな(笑)
だって自分から告ったり、口説いたことないから。
どうすりゃあいいか、わからなかったんだもん。
とにかく!
考えてよ?
ちゃんと、勉強教えてやっから!』



「―――――んで!気付いたら、付き合ってた!
夏休みに入った頃には既に」
煙草の煙を吐いて、懐かしむように言った糸岩。

「へぇー」

「それからあっという間だったなぁー」

「え?」

「なんか……運命?みたいに、二人の世界っつうか…相思相愛っつうか…
ずーっと、一緒にいるようになった。
登下校、休み時間、学校以外でも…いつも二人一緒でさ。
俺が“たまには、男だけで遊ぼ?”って言っても“嫌!!”って!
千香ちゃんも“徹治くんと一緒にいたい”って言うし(笑)
もう…凄かった!(笑)」

「へぇー、そうなんだ…」
(兄貴、いいなぁ……
千香子さんに依存されて)

糸岩の話を聞きながら、虎徹は切なくなっていた。
そして、徹治に嫉妬心を膨らませていた。
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