〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「―――――マンネリかぁー」

「まぁ…結婚15年目にもなればね?(笑)」
40代の既婚者の社員が、マンネリ化していてセックスレスが続いているという話をしている、千香子達。

「まぁでも、みんなはまだ若いもんね!
20代の時は私も凄かったわ(笑)」

「でも、私もマンネリ化してますよ?」

「井野ちゃん、確か…」

「えーと…つき合って、七年?くらい?かな?」

「へぇー、じゃあ…高校生からの付き合いとか?」

「はい。
高二からです」

「彼は?何歳?」

「一つ年上です」

「へぇー!」
「結婚の話とか出ないの?」

「うーん…そんなニュアンスの話は出たことありますが、なんかそこから話が進まないというか……」

「そっか…
男性って、何かきっかけみたいなのがないと…って感じだもんね〜(笑)」

「………」
(結婚か…)
千香子は井野達の話を聞きながら、虎徹のことを想った。


虎徹くんは、私みたいな弱い人間と結婚してくれるのだろうか……

脆くて、弱くて、いつも不安定で心配かけてばかりの私を。


「千香子さんと原藤くんは、いつかな?」

「へ?」
突然、話を振られびっくりする千香子。

「へ?って、結婚考えてないんですか?」

「それは……
私は、したいと思ってます」

「でしょ?
だったら――――――」
「でも本当は、私は虎徹くんに相応しくないんです」

「え……?」

左手首のリストバンドを擦りだす、千香子。
「私は学生の頃、虎徹くんのお兄さんと付き合ってたんです」

「そうなんだ!」

「でも大学四年生の時、彼は病気で亡くなりました」
擦っていた左手首をギュッと握りしめた。

「嘘…」
「そう…なんですね…」

「私、徹治く…あ、虎徹くんのお兄さんのこと、大好きでした。
それこそ、結婚したいなってくらいに。
だから、彼の死を受け入れられなくて……
ボロボロになって……
……………でも、それを虎徹くんが献身的に支えてくれたんです」

「そんなことが……」

「“好きだから”
そう言って、ずっと…ボロボロの私を慰めて、寄り添って、時には叱って諭してくれた。
…………そんな素敵な人なんです。
そんな人と、私なんかでは本当はつり合わない。
でも虎徹くんのこと、どうしようもなく好きだから。
離れられなくて……」


「―――――――二人は、似た者同士ですね……!」

それを聞いた井野が、千香子に微笑み言った。
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