〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「え?」

「BBQの時も言いましたよね?
原藤くんにとって千香子さんは“憧れの女性(ひと)”って。
いつも輪の中心にいる千香子さんが、好きで堪らないって言ってました。
原藤くんって、イケメンだし、仕事も正確で早いし、なんだかんだ優しい。
でも私達が褒めても、全然喜ばないんですよ?
“あ、そうですか?”って、淡々として冷めてて。
私、聞いたことがあるんです―――――――」


『―――――ねぇ』

『んー?』

『原藤くんって、クールだよね』

『は?』

『だって、淡々としてるし。
嬉しくないの?
イケメンとか、仕事が出来るってみんな言ってくれてるでしょ?
もっと素直に喜べばいいのに!』

『悪い気はしない』

『うん』

『……………でも、嬉しくない』

『え?』

『俺の心を揺さぶれる人は、この世に一人だけ』

『もしかして、彼女さん?』

『うん。
確かに、クールって言えばそうかもな。
千香子さんに出逢うまで、ずっと冷めてたから。
何をされても、何も感じない。
仲間“だった”奴等は、楽だからつるむ。
ウザいから殴る。
言い寄られるのがめんどくさいから、付き合う。
キスしてってしつこいからキスして、性欲処理のために抱く。
そうやって生きてきた。
千香子さんに出逢って、心が動き出したんだ。
千香子さんに“カッコいい”って言われると、飛び上がるほど嬉しい。
“仕事が出来て凄いね”って言われると、もっと頑張ろうって思える。
―――――――俺が褒められて嬉しいのは、千香子さんだけ。
褒められたいのも、千香子さんだけ』



「――――――って!
“だから、今は嫌われないように必死に頑張ってる。
本当は、俺なんか千香子さんに相応しくないから”って…!」

「そう…なんだ」

「可愛くて、明るくて、雰囲気も柔らかい。
弱くて脆いけど……
千香子さんは、俺の自慢だって!」

「……っ…//////」
千香子は、手を口に当て感激していた。

「だから今聞いてて、可笑しくて!
お互いに、自分を卑下して“相応しくない”だなんて……(笑)
もっと、自信を持っていいと思いますよ?
私は、羨ましい!
そんなふうに、お互いに想い合えて!」

「………///////はい…!」

井野の言葉に、千香子は嬉しそうに笑った。
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