〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
悪友との再会
俺には“悪友”がいる。

中・高校生の時にツルんでいた、親友とも言える男。
いつも冷ややかで無情だった俺の、唯一の理解者で、信頼できる人物だった。



「―――――千香ちゃん!お疲れ!」

糸岩が、虎徹と行橋を連れて千香子の勤めるショップに来た。

「ノブくん!
虎徹くん、行橋さんも!
…………ん?虎徹くん、なんか怒ってない?」

「ううんー別にー」
千香子に近づき、手を握った。

「フフ…森浦さんの所に行くって言ったら、無理矢理ついてきたんだよ?
原藤くん、今関わってる案件で忙しいのに……」

「そうなんですね(笑)
フフ…でも、会えて嬉しい!」
“可愛いなぁ、虎徹くん”と惚れ惚れしながら見上げた、千香子。

「俺も!」
その笑顔に、虎徹も自然と笑顔になる。

微笑み合っていると、糸岩が割り込んできた。
「千香ちゃん、店長呼んで?」

「あ、ごめんね!」
そう断り、パタパタと裏に向かっていった。


しばらくして、首東と天胡、ナリカワが来た。

「こんにちは!
店長の首東です!」

「電話では失礼しました!
糸岩です!
あと、行橋と原藤…って、二人のことは知ってるんですよね?」

「はい!
えーと…それで、会社のみんなで着たいパーカーを特注したいんですよね?」

「はい!
会社のロゴを入れて、あ、でも!あんまり目立たないように。
気軽に着れる物を……」

虎徹が勤める会社は、全てが自己責任。
なので、服装も自由だ。
BBQの時に、千香子が井野達にショップでオーダーのパーカーやTシャツも作れるという話をしたことで、だったら普段着にも出来る会社のロゴが入ったパーカーがあったらいいねという話になったのだ。

「はい。
それで、紅尾とナリカワにも同席してもらいました。
女性もいた方がいいかなってのと、俺はあんまデザインセンスがなくて…(笑)
ナリカワは、完璧なんで!」

「よろしくお願いします!」
天胡とナリカワが挨拶をする。

「こちらこそ!
でも、千香ちゃんじゃないだね!」
天胡を見ながら言った糸岩。

「あー、モリチカちゃんからお断りがあったので!」

「え?」
「は?」
「なんでですか?」
糸岩、虎徹、行橋が順に反応する。

「公私混同して、仕事どころじゃなくなるからだって」
「特に虎がいると、自分を抑えられないからって!」
「モリチカちゃんらしいですね!」

「へぇー!
ほんと、愛されていいなぁ~原藤くん!」
行橋がポンポンと、虎徹の肩を叩く。

「まぁね/////」
(ヤバい…チョー嬉しいんだけど!)

「千香ちゃん、ほんと好きなんだろうね〜虎徹のこと」

糸岩がそう言うと、天胡とナリカワがクスクス笑いだした。
「ん?何?」

「モリチカちゃんって、彼氏くんのこと話す時、すっごいノロケてくるので!
“カッコ良すぎて、心臓もたないんですぅ〜”って(笑)」

「そうそう!
虎のこと“サカりのついた虎”って言われるの嫌みたいで、本気で怒るし(笑)
“虎徹くんは、素直で素敵なの!”って(笑)
ほんと、ウケる(笑)」

笑う天胡とナリカワに、虎徹は顔がニヤけていた。
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