〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
長谷 梓馬(あずま)
通称・アズ。

虎徹の親友であって、悪友でもある男。
虎徹の良き理解者であり、一緒に沢山の悪いこともしてきた。


「あの!
コテに会わせてもらえませんか!?
あいつ……高校卒業して、俺達との関係を一方的に絶ったんです。
ずっと、コテのこと気になってて…
あいつ、元気にしてますか!?」

必死に伝えてくる長谷に、千香子は「元気にしてますよ!」と大きく頷いた。

その日の仕事終わり。
千香子が、虎徹に電話をする。

「もしもし?虎徹くん?」
『千香子さん、終わった?』

「うん!
虎徹くん、今何処?」
『いつもの所で待ってるよ?
早く来て〜!』

甘えるように言う虎徹に、千香子は(可愛いなぁ)と笑いながら「わかった!」と通話を切った。

長谷とともに、いつもの食品売場前のベンチに向かう。
待ち合わせ場所に着き、虎徹を探す。

「あれ?
何処だろ…」
「いないですね…」

「ちょっと待ってくださいね。
もう一度電話――――――」
その瞬間、強い力で引き寄せられた千香子。
そのまま強く抱き締められた。

「俺の女になんか………え……!?
お前……!!」

「コテ!!
やっぱ、コテだ!!」
嬉しそうに、虎徹の肩に手を置こうとする長谷。

しかし虎徹は、その手を………


パン―――――

………と、払った。


「え……コテ……?」

「知らない」

「え……」

「俺、お前のこと知らないから」

冷たくて、突き刺すような…でも、どこか切ない声色と言葉。

その場の雰囲気まで、凍るように冷たくなる。
思いがけない虎徹の言葉に、長谷は固まったように何も言えなくなる。

「千香子さん、帰ろ?」
千香子に微笑み、ポンポンと頭を撫でた虎徹。
千香子の手を取り、指を絡めて引いた。

「え?え?
虎徹くん!待って!
長谷くんだよ?
知ってるんだよね!?
中・高生の時の友達なんでしょ!?」

「………」
虎徹は無言で、千香子の手を引く。

「虎徹くん!!」

「………」

「虎徹くんってば!!」

「言ったよなぁ!!?
中・高の奴等は縁を切ったって!!
アズと俺はもう、関係ねぇんだよ!!」

「関係、ない?」

「あぁ!関係ねぇ!」


―――――――!!!!

虎徹の言葉に千香子は胸を痛め、おもいきり繋いでいた手を振り払った。

そして、虎徹を睨みつけていた。
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