〜ずっと好きだよ~俺と彼女の溺愛生活
「千香子…さん?」
ハッとしたように、千香子を見る虎徹。

「関係なくなんかない!!」

「え?」

「どんなに辛い過去でも……“その過去があったから”今があるんだよ?」

「………」

「私は……“徹治くんの死”や“自殺未遂”
辛くて苦しい過去は“それがあったから”今幸せなんだって思ってる」

「え?」

「長谷くんは、大切な親友なんだよね?
だったら……“なかったことにしちゃダメだよ”
長谷くん、虎徹くんのこと凄く心配してたんだよ!?」

「……………
千香子さんは、昔の俺を知らないからそんなことが言えるんだ…」
千香子から視線を逸らし、ポツリポツリと言う虎徹。

「虎徹くん…」

「俺は!
千香子さんが好きなんだ!
出逢った時からずーっと!
嫌われたくねぇの!!
昔の俺を知ったら、千香子さんは俺を嫌う。
軽蔑する。
俺から離れてく…きっと…
……………そんなの、耐えられねぇ…
だから!
抹消したいんだ!!
千香子さんが知らない俺なんて、必要ねぇ!!」

「………」

「だから、アズのことも抹消する」

「………」

「………」

「…………私の知らない、虎徹くんって?」
真っ直ぐ見上げ言った、千香子。

「は?
だから!言いたくねぇの!」

「めったに家に帰ってこなくて、喧嘩ばかり。
で!警察に補導されたのなんと!77回。
おっ!ラッキーセブンじゃーん!
つか!こんだけ補導されるんなら、普通少年院行きじゃね?
でも、良い刑事がいてさ。
警部補のスギさんとは、マブダチみたいになっててさぁー(笑)
女も何人泣かせたか……
あぁ、もう…将来大丈夫かな?
俺の可愛い、可愛い弟は!」

「え?」

「徹治くんから、聞いてるよ」

「嘘だろ…」

「最低な奴だよ。
むしゃくしゃしたからってんで、喧嘩ふっかけて半殺し。
女に関しても、二股・三股は普通。
ヤるだけヤって、ゴミみたいにポイ捨て。
でも……
喧嘩をふっかける相手は決まって、自分より強い奴。
二股・三股も、相手は“承認済み”
相手の女も“それでいいから”ってんで、付き合ってたらしい。
それに、あいつは“大切な人間のためなら”土下座が出来る奴。
間違ってると思ったら、ちゃんと頭を下げて“すんませんでした!”って、ちゃんと謝罪ができる奴。
“最低だが、最高の弟だ”って!
…………私もね、思うの。
虎徹くんは、とっても素直だなって!
恥ずかしくて言えないことも、真っ直ぐ伝えることが出来るでしょ?
謝罪も、大人になると恥ずかしくて言えなくなる。
プライドとか、意地を張ったりとかして。
でも、虎徹くんは違う。
ちゃんと謝罪が出来る人」

「……/////」
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