あなたに愛されたい…青い空から舞う桜…
ほっとする…優しくて大きな手。

子供の頃両親不在の時に熱を出し、暗い部屋で誰にもすがることが出来なくて、苦しくて、苦しくて…

暗闇の中で私を優しく包んでくれた大きな手。

あーーあの時と同じ。

ほっとする。

寝心地いい場所…薄っすらと、瞬きを数回繰り返しながら目を開けた。

いつの間にか寝てしまっていたの。

目を開ければ考ちゃんの優しい目…

なんだか考ちゃんをこんなに近くに感じたのいつぶりだろう??

甘えたい…

子供の頃のようにただ甘えられたら、素直になれたら…いいのに。

出来ない自分がもどかしい。

この優しい目は妹だから。

考ちゃんの本当の優しさは婚約者のもの、あの人に傷ずつけられた痛みがぶりかえしてくる。

あーー泣きそう…

『 大丈夫か?? 』

考ちゃんの優しい声が降ってくる。

たった一言でも、今の私は泣きたくなるの、でも普通にしてなきゃ…私は大丈夫。

精一杯の笑顔で

「 相変わらずの心配性、大丈夫だよ!! 」


考ちゃんは小さなため息を吐く。

私は体を無理やり起き上がろうとしたら、ムッとした顔で寝てろ…だって。

なんか間が持たない、そういえば仕事は?昼過ぎだよね。

「ねぇーし、…

『 あいつと何があった?? 』

私に背中を向けながら考ちゃんは。

「 あいつ??誰??なんのこと? 」

シーツに顔を埋めながら、普通に普通に。


『 誤魔化すな… 』

何も言いたくない!


『 もう一度聞く、碧が来たはずだ 』


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